義務付け訴訟
義務付けの訴えには、ひとつに当該処分につき申請権を有しないものが処分の義務付けを求める訴訟がある。(1号義務付け訴訟、又は直接型義務付け訴訟と言われている。)
要件
先日あるニュースで、自分の土地の範囲を著しく超えて、粗大ごみ等の置き場としていた事件があった。
道にもはみ出していて、通行の妨げになっていた。
行政指導をしていた様子だったが、火に油を注いだだけ。
その後どうなったかは分からないが、こういう場合に、第1号義務付け訴訟ができるのではないかと思った。
条件
①原告適格があるか。
②処分がされないことにより重大な損害が発生する可能性があるか。
例えば、粗大ごみから流れ出す油等によって、自分の畑の作物等が枯れてしまった。とか、
病院への通院がその道を通らなければできないとか、
上の例でいけば、訴えの法律上の利益はありそうですね。
重大な損害が発生する可能性はありそうです。
③他に適当な方法が無いか。
不作為の違法確認の訴えができそうだが、第37条に、不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をしたものに限り、提起することができる。
とあります。第1号義務付け訴訟は申請を前提としていないので、できない。
よって、上記の例の場合、義務付け訴訟ができそうです。
続きまして、第2号義務付け訴訟又は申請満足型義務付け訴訟。
この場合は、①申請、審査請求をしても相当の期間なんら応答が無い場合又は、
②申請又は審査請求を提起したが、却下若しくは棄却された事が、不満で、取り消し又は無効である事を要求したい場合に提起できます。
第2号義務付け訴訟は、必ず、①の場合は不作為の違法確認の訴えと共に、②の場合は無効等確認の訴え、取消訴訟と共に提起しなければならないとされています。
よって、認容判決が出た場合は、その却下又は棄却処分・裁決が取り消され、又は無効となり、
その反対の処分を義務付ける事になります。
過去のニュースで、重い小児喘息を患っている、幼児を市立の保育所に入所させる申請をしたが、その病気を理由として、断られた事件がありました。
しかし、両親(片親だったような気がしますが)は仕事をしなければ、生活が困難になるので、どうしても保育所で見てもらいたかったのです。
そして、仮の義務付け訴訟を提起したのです。
なぜ、取消訴訟ではないのか・・・
取消訴訟でもいいような気がするが、仮の義務付けの方が、緊急を要する事が裁判所により伝わってくる感じがする。
取消訴訟の判決が出るまでの期間はどのくらいかかるかよく分からないが、保育所に入所させるのが目的なので、訴訟が長引いては困るのです。
とにかく、小学校に入るまでが勝負なので、仮の義務付けの要件である、処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避ける為に緊急の必要があるに当てはまる。