再議
地方自治において、長と議会はそれぞれ住民が選挙して選出された、代表者なので、
お互い独立した地位と権限を持っている(大統領制)。
その権限のひとつとして、再議(審議のやり直し)がある。
これは議会で決定した議決を、長に異議があればやり直させることができる権限である。
こちらに分かりやすい再議の内容があったので抜粋した。
高知新聞ニュース(2007.3.24)の放射性廃棄物処分拒否条例の再議である。
地方自治法 第176条
第1項
議会で条例を制定(改廃、予算の議決を含む)する議決に異議があれば、長は例外を除いて、10日以内に理由を示して、議決をやり直し(再議)させる事ができる。
第2項、第3項
そして、やり直した結果出席議員の3分の2以上の同意で、再び同じ議決がされれば、その議決は確定される。
異なる議決となった場合は確定するとの記載は無い。その場合はどうなるのだろうか。一からやり直し?それともその異なる議決で確定されるのか?
長としてはどうしても核廃棄物施設を誘致したいという、一人の意見を曲げなければいいのだが、議会は多数決を要するので、意見の不一致がでてくる。
それを再議によって、もう一度考え直して、住民にとって、一番いい方法を選択していこうというわけだ。
他に、議会の違法又は権限を越えた議決にも長は、理由を付して再議又は再選挙を行わなければならない。(こちらは重大な問題なので義務となる)
こちらは、議会の再議決又は再選挙でなお権限を越え又は違法である場合は、21日以内に、総務大臣又は都道府県知事に審査してもらうことができる。(長が都道府県知事の場合は総務大臣、長が市町村長の場合は都道府県知事)
その通りと判断した総務大臣又は都道府県知事は取り消す裁定をする。
さらにその裁定に不服がある議会又は長は60日以内に裁判所に出訴できる。(機関訴訟)
地方自治法 第177条
①執行不能な収支
②法令等により義務的に支出する経費又は収入を削除又は減額
③非常時又は感染症予防に関する経費又は収入を削除又は減額
に関する議決に、長は必ず理由を示して再議に付さなければならない(義務)。
①再議された議決で確定。
②再議の議決がなおも同じ議決であった場合、長はその経費又は収入を予算に計上して支出する事ができる。
③再議の議決がなおも同じ議決であった場合、長はそれを不信任の議決とみなすことができる。
よって、③の場合、議長からその通知を受け10日以内に議会を解散する事ができる。解散しないとき10日経過後長は失職する。又は解散してもその後始めての議会で再び不信任の議決(3分の2の出席議員の過半数の同意)がされた場合、議長からの通知を受けた日に長は失職する。
内閣との相違点は、信任決議案の否決が無いのと、解散後長はすぐに失職しなくてもよいという点である。内閣より地方公共団体の長を解職する方が厳しくなっている。