関与に対する手続
普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与については、
行政手続法を参考に考えたい。
第247条
国の行政機関又は都道府県の機関から、普通地方公共団体に対する、助言、勧告、その他のこれに類する行為は、行政手続法の行政指導に似ている面がある。
行政指導の第32条第2項に
行政指導に従わなかったことを理由に不利益な扱いをしてはならない、とあります。
これは地方自治法247条第3項の
助言等に従わなかったことの理由にして、不利益な扱いをしてはならない。とほぼ同じです。
次に
行政手続法第35条第2項
相手方から行政指導の趣旨、内容、責任者が記載された書面の交付を求められたときは、支障が無い限り書面を交付しなければならない。とあります。
例外として、同項第3項には
その場で完了する行為を求めるものと、すでに文書又は電磁式記録によって、通知されているものと同一の内容のものは、書面を交付しなくてもよい、とされています。
地方自治法の場合は、
第247条
助言等を書面で行わなかった場合、求められたときは、書面を交付しなければならない。とあります。
支障が無い限りの言う文句はありません。求められたら必ずです。
第247条第2項
例外として、
その場で完了する行為を求めるものと、既に書面で通知されているものと同一のものは、やはり書面でする必要はありません。
行政指導と一緒です。(電磁式記録の方式はなぜか無い)
第248条の資料の提出の要求の方式については、例外なく、求められたときは必ず、書面で交付しなければなりません。
第249条の是正の要求等の方式については、簡単に口頭で済ますわけにはいかないようです。
必ず理由を付記した書面で行います。差し迫った必要がある場合はいいようです。
ただし、その場合でも、相当の期間内に書面を交付しなければなりません。
第250条の協議の方式の場合は、国の行政機関又は都道府県の機関が意見を述べた場合、普通地方公共団体からその意見の趣旨、内容を記載した書面の交付を求められたときは、交付しなければなりません。
第250条の2許認可等の基準は
行政手続法の審査基準とほぼ同じである。
行政手続法第5条の審査基準は、
行政庁は審査基準を定め、行政上特別の支障があるときをのぞき、審査基準を公にしておかなければならない。(必須義務)
地方自治法第250条の2第1項
普通地方公共団体から、申請等があった場合、許認可等をするかどうかの判断をするために必要とされる基準を定め、行政上の支障があるときを除き、これを公表しなければならない。(必須義務)
とあります。
ほぼ同じですね。
第250条の2第2項は行政手続法の処分基準とほぼ同じである。
行政手続法第12条
行政庁は処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。(努力義務)
地方自治法第250条の2第2項
普通地方公共団体に対し、許認可等の取り消し等をするかどうかを判断する為に必要な基準を定め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。(努力義務)
こちらもほぼ同じです。
地方自治法第250条の3の許認可等の標準処理期間も
行政手続法の申請に対する標準処理期間とほぼ同等。
行政手続法第6条
行政庁は、申請がその事務所に到達してから、当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な機関を定めるよう努める(努力義務)と共に、もしこれを定めたときは、適当な方法により公にしておかなければならない。(必須義務)
地方自治法第250条の3
国又は都道府県の機関等に申請等が到達してから許認可等をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、かつこれを公表するよう努めなければならない。(定めるのも公表するのも努力義務)
地方自治法の第250条の4許認可等の取り消し等の方式
こちらも行政手続法の不利益処分の理由の提示に似ている。
行政手続法第14条
不利益処分をする際はその理由を示さなければならない。(必須義務)
不利益処分を書面でするときは、その理由は書面により示さなければならない。とあります。
これに対し、
地方自治法250条の4
許認可等の拒否又は取り消しは、その内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない。(必須義務)
理由は両者必ず示す必要がありますが、書面にて示すことは行政手続法は条件があり、不利益処分を書面でする場合書面にて示せばよいとされ、他方、地方自治法では必ず書面にて理由を示さなければなりません。(おそらく文盲の方を範疇に入れる必要が無いからでしょう)
行政手続法には無い基準として、地方自治法には法定受託事務の処理基準があります。
地方自治法第245条の9
第1項
大臣→都道府県
都道府県の法定受託事務の処理基準を定める事ができる。
第2項
都道府県の執行機関→市町村
市町村の法定受託事務の処理基準を定める事ができる。
都道府県の執行機関が
都道府県知事の場合は→市町村の執行機関が担任する法定受託事務(下記二つの執行機関を除く)
都道府県の執行機関が
都道府県教育委員会の場合は→市町村教育委員会が担任する法定受託事務
都道府県の執行機関が
都道府県選挙管理委員会の場合は→市町村選挙管理委員会が担任する法定受託事務
第3項
特に必要がある場合は、
大臣→市町村
市町村の第1号法定受託事務についての処理基準を定める事ができる。
大臣が市町村に関与する場合は、慎重に進めなければならない。第1号法定受託事務で、特に必要がある場合に限っているのはその為だろう。
第4項
大臣→市町村
第2項の都道府県の執行機関→市町村の法定受託事務の処理基準に関して、
必要な指示をする事ができる。