追認

追認

追認・・・法律行為で、不完全であったものを、後から補充して完全に有効とする行為。また、その意思表示。(日本語大辞典:講談社)

追認」って思ったより奥が深いですねえ。

単純に「やっぱりそれを買いますっ」て感じかと思っていました。

追認」が登場する条文には、意思表示(民法93条)、無権代理(民法99条)や、
最も重要な、無効、取り消しの追認について(民法119条)あたりでしょうか。


未成年者が、例えば、18歳の少年が自分名義の土地を売ってしまった。
当然取り消せますね。未成年ですから。

買った人が、18歳の少年に、「一応取り消せますが、どうします?」
って聞いたとします。

少年が、それを取り消さないで、「土地は売ります!!」
と言いました。

でも(法定代理人、又は本人が成人に達してから追認しない限り、)無効なんですね。

なぜ?

ここに強力な条文、民法124条1項があります。
追認は、取り消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない

まあ、常識で考えても無効な行為だと思いますが、

この「民法124条」がきちんと明文しております。


この「取り消しの原因」って例えば何でしょう?

その前に法律上「取り消せる行為」とは?

  • 「民法第5条」の未成年の法律行為

  • 「民法第9条」~「民法第21条」にまたがる制限行為能力者の行為

  • 「民法第96条」の詐欺又は強迫による意思表示について

  • 「民法第115条」の無権代理の相手方の取消権
  • などがあります。他にもありそうですが、いまのところ把握しているのはこんなところです。

    まず未成年ですが、20未満の未成年は基本的には単独で法律行為を行うことができません。
    例外はありますが、

    先ほどの例によれば、19歳になった時点で、「土地を売りますっ!!」といっても効力は生じません。
    しかし、20歳になって「土地を売りますっ!!」と言った場合、有効になります。

    次に制限行為能力者の場合ですが、もしかすると病状が改善されて、
    成年被後見人が行為能力者となることも当然あります。

    この場合も成年被後見人の状態での追認の効力は生じませんが、行為能力者となって、
    追認する場合は、了知(事柄の内容をよく知ること:日本語大辞典)した後であれば有効です。(民法第124条第2項)
    未成年者の場合と似ていますね。

    次に詐欺又は強迫の取消権ですが。

    詐欺にあっている状態とは、平たく言うとだまされている状態ですから、まだその時点では
    気づいていません。思ったとおりの結果が期待できると信じ込んでいるわけです。

    そんな状態での追認は無効ですよね。

    詐欺行為をした者が、法廷で、「追認したから有効ですよっ!」って叫んでみても
    (民法124条第1項)に言う「取り消しの原因となっている状況」がまだ消滅していないわけですから。

    しかし、「取り消しの原因となっている状況」が消滅した後、例えば「詐欺にあったんだっ!!」
    と気づいた後に「やっぱりそれでもいいや」って追認したのなら、もう取り消せません。

    強迫の場合も同様です。
    「ああ・・婚姻を取り消したいけど、脅されているから、認めておかなければ殺されるかも・・・」
    なんて場合です。
    見かけ上、追認しているかもしれませんが、まだ強迫されている最中です。
    なんの効力も生じないわけです。

    でも強迫がやんだ後、「でもこの人ならついていけるかも・・・っ」てなれば追認は一気に有効となるわけです。

    次に無権代理行為ですが、これも考え方は同じようです。
    代理権が無い間はいくら「OKです」と言ったところで、無効なわけです。

    しかし、代理権を与えられた後に追認すれば、有効ですね。


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