取り消しと無効

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民法の規定には、取り消せる行為と無効の行為があります。

取り消せる行為

  • 「民法第5条」の未成年の法律行為

  • 「民法第9条」~「民法第21条」にまたがる制限行為能力者の行為

  • 「民法第96条」の詐欺又は強迫による意思表示について

  • 「民法第115条」の無権代理の相手方の取消権
  • 無効な行為

  • 原則有効だが、相手方が悪意か、知る事ができた場合の心裡留保

  • 重過失が無く、要素錯誤がある意思表示

  • 通謀虚偽表示をした意思表示(善意の第三者には対抗できない。)


  • 取り消せる行為と無効の行為の違いは、どの辺にあるのだろう。

    取り消せる行為は、本人にもう一度よく考えるチャンスを与える事。もしかしたら本人の利益になるかもしれないので。

    無効は、法律的にチャンスを与える必要が無い。無かったことにして、取引をスムーズに進めましょうと言う感じです。

    本人を保護する必要があるかないか。によって判断してみると。

    詐欺行為・・・ひどい目にあったのだから、保護してあげたいですね。
    強迫・・・これも同じです。

    心裡留保・・・しいて言えば、冗談です。例えば、「宝くじが当たったら、半分あげるよ。」と言われた場合、本当に1億円が当たった場合、5千万円あげなければならないのか?一般常識から考えて、冗談だと分かるはずです。よって、無効になります。特に、本人を保護する必要はありません。もし本当にあげたければ、5千万円あげればいいだけの話です。

    通謀虚偽・・・もし、取り消せますけどどうしますか?となった場合、取り消さないに決まってます。いちいち聞いてたら取引がスムーズに進まなくなってしまいます。法的にスッパリ無効にして、やり直しさせる方がいいはずです。保護する必要は全くありません。もし、知らずに信じて契約した第三者がいれば話は別ですが。


    しかし、無効な行為だと分かっていたうえで、契約をそのまま勧めることにお互いに依存が無い場合もあります。

    上の例でいくと、「宝くじが1億円当たって、5千万円を上げてもいいよと言ったのは冗談だったけど、その後、競馬で5千万円当たったから、やっぱりあげるよ。」となった場合。始めから有効な契約ではなく、その時点から、新たな契約として成り立つことになります。(第119条)

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