問題4

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問題4
国家公務員法102条1項が、その禁止対象とする「政治的行為」の範囲の確定を、独立行政委員会である人事院にゆだねられていることの是非をめぐっては、次のようにさまざまな意見があり得る。それらのうち、内閣が行う高度に政治的な統治の作用と、一般の国家公務員による行政の作用とは質的に異なるという見地に基づく意見は、どれか。

1 憲法が「行政権はすべて内閣に属する」と規定しているにもかかわらず、公務員の人事管理を内閣のコントロールが及ばない独立行政委員会にゆだねるのは、違憲である。

2 公務員の政治的中立性を担保するためには、「政治的行為」の確定それ自体を政治問題にしない事が重要で、これを議会でなく人事院にゆだねるのは適切な立法政策である。

3 人事院の定める「政治的行為」の範囲は、同時に国家公務員法による処罰の範囲を定める構成要件にもなる為、憲法が予定する立法の委任の範囲を超えており、違憲である。

4 国家公務員で人事官の弾劾訴追が国会の権限とされていることから、国会のコントロールが及んでおり、人事院規則は法律の忠実な具体化であるといえる。

5 行政各部の政治的中立性と内閣の議会に対する政治責任の問題は別であり、内閣の所轄する人事院に対して国会による民主的統制が及ばなくても、合憲である。


解説

一概に国家公務員といってもその範囲は広く、同じ国家公務員でも、一般職である国家公務員と、選挙されて選ばれた国会議員である国家公務員では活動内容は異なる。一般職である国家公務員(例えば、防衛省の職員など)が行う政治的行為はかなり限定されており、今では選挙権くらいしかないとされる。一般職国家公務員は、選挙して選ばれた政府の意見を、忠実に実現し、国民全体へ奉仕しなければならないのであり、個々の政治的意見は慎まなければならない。

本来であれば、人の権利を制限する政治的行為の禁止事項などを、法律又は政令で定めず、行政立法で定めるのは問題があるのではないかという意見がある。
しかし、これが国家公務員となると一概に言い切れない部分があり、政治的行為の禁止事項であっても全体の奉仕者である国家公務員であるならば、当然受忍しなければならないと解され、同じ国家公務員の政治的行為であっても、内閣が国会に対して、責任を負う統治の作用を含む政治的行為と、一般の国家公務員が行う政治的行為ではその意味が質的に異なる。

よって5番が当てはまると思う。
しかし、難しい問題ですね。今の段階ではこのくらいの解釈しかできません。

試験当日は問題を問題1から解きませんでした。順番は、まず民法→地方自治→行政法→手続→不服→事件→基礎法→憲法→会社法→多岐選択→一般→記述

知識がわりと豊富な科目から解き始めるべきだと思ってこうしました。

この問題4のような難しい問題に時間をとられていたらまずいですね。ある程度捨て問も必要かもしれません。一定時間経過したら、次に進むようにした方がいいですね。

独立行政委員会:
独立の権限を持つ行政委員会で、準立法権、準司法権を持っている。
しかし、以下の憲法に違反するのではないかという意見がある。
憲法第41条 国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。
憲法第65条 行政権は内閣に属する。
憲法第73条 第4項 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
         第6項 この憲法及び法律の規定を実施する為に、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則をもうけることができない。

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