問題20(国家賠償法)

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国家賠償法2条の定める営造物管理責任に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国家賠償法2条に定める営造物は、道路・河川などの不動産を指し、公共団体が管理する動産の瑕疵については、それを管理する公務員の同法1条に基づく責任が問題となるほかは、同法2条の適用を受けることはない。

解説
2条の適用を受けることも有り得る。
確かこんな判例があった。
公務員である警官が、ピストルで恋愛のもつれで女性を殺してしまった。この場合当然1条の公務員の違法行為が適用されると思うが、裁判所は2条も補助的に訴訟内容に入れるように求めていた。2条の公の営造物の管理の瑕疵の場合の公の営造物には動産も含まれるので、きちんとピストルを管理していればこういうことにはならなかったはずであるというわけである。


2 営造物の管理責任は、公物として正規に管理されている行政財産についてのみ及び、事実上私人によって道路として利用されているに過ぎない公有地の管理責任については、国家賠償法2条の適用を受けることはない。

解説
実際に管理しているものと、その管理費用を負担しているものが異なる場合でも、管理費用を負担しているものもが国又は公共団体であれば、その賠償の負担をすることになる。(国家賠償法3条)よって、国家賠償法2条の適用を受け得る。


3 営造物の管理責任は、営造物の物理的瑕疵を問うものであり、営造物を管理する公務員の管理義務違反は国家賠償法1条の責任であって、同法2条の責任が問われることはない。

解説
誤り。
国家賠償法第2条①道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
とあります。

この国家賠償法は必ず毎年1問は出ますが、条文が少ないだけに出題する側も問題作成に苦労しているのが伺える問題ですね。
似ている問題が多い気がします。
それだけに決して落とせない問題です。


4 営造物の瑕疵は、営造物そのものに物理的瑕疵がある場合を元来指すが、第三者の行為により営造物が瑕疵ある状態になった場合にも、その状態を速やかに改善して瑕疵のない状態に回復させる責任が営造物管理者にはある。

解説
そのとおり。
高速道路などで、トラックが車道に落としていった荷物を、速やかに排除しないまま放置して起こった事故は、道路の管理者が責任を負う。ただ、適正な時間内で排除する前に起こった事故は、責任を負わない。


5 営造物の管理責任は、その営造物を設置し、管理する責任を有する公共団体が負い、管理の費用を負担するに過ぎない公共団体が負うことはない。

解説
国家賠償法第3条①公の営造物の設置若しくは管理に当たる者と管理の費用を負担するものとが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
とあります。
よって誤り。

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