問題6

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外国人の憲法上の権利に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でないものはどれか。

1 国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押なつを強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されず、また、この自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される。

解説
指紋押捺事件
いや~~間違えました。
指紋の押捺の強制は、在留外国人に関してはOKかと思ってました。しかし外国人登録法では、罰則による間接強制で、指紋の押捺をすべきとなっており、判例でも憲法13条に違反しないとなっています。がっ1999年に全ての外国人に対して指紋押捺義務が撤廃されたそうです。知らなかった!

2 日本に在留する外国人のうちでも、永住者であってその居住する区域の地方公共団体と特に緊密な関係を持っている者に、法律によって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与することは、憲法上禁止されない。

解説
定住外国人地方参政権事件
でました。有名な判例。この判例には他に、「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されているものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものである。」という有名なくだりもある。
しかし、去年の問題にも似た問題が出ました。外国人に「条例」をもって選挙権を与える事ができるか否か。正解は「法律」をもってです。
「外国人」に関する問題が新試験に変わってから、連続して出題されました。これは何かあるか?行政書士は帰化申請もできるので、この辺を問う問題を作って知識を問うことは意味があるのでしょう。来年は果たして出るか出ないか!?でも一般知識として、抑えておきたい知識です。

3 普通地方公共団体は、条例等の定めるところによりその職員に在留外国人を採用することを認められているが、この際に、その処遇について合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることは許される。

解説
外国人の公務就任権
日本で生まれた、韓国国籍の特別永住者である公務員の保健婦が、管理職選考試験の受験を申出たが、拒否され、慰謝料を請求した事件。
管理職は地方公共団体の公権力を行使するなど、統治作用に関わる確立が高いとされるので、外国人を起用するのは、国民主権に反する。しかし、管理職であってもその公権力の作用が強いものと、弱いものが存在する。判例は、地方公務員のうち住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするものに関しては、外国人起用を制限する合理的な理由であるとした。
補足意見、反対意見が多数ある微妙な判決。

4 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国はその政治判断によって決定する事ができ、限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たって、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許される。

解説
塩見訴訟
朝鮮で生まれ日本に帰化した塩見日出氏のお話。裁判所の判例集に載っていない判例なのですが、個人情報なので、破棄されたのでしょうか?しかし、試験には出るので、理解していかなければなりません。障害福祉年金の支給資格は、限りある財源の中で、国際情勢、政治、経済、社会的諸事情を考慮しながら、立法府の裁量権に任せるべき事項であるとした。よって、自国民を在留外国人より優先的に扱うとした法令は違法ではない。よって妥当。

5 外国人は、憲法上日本に入国する自由を保障されてはいないが、憲法22条1項は、居住・移転の自由の一部として海外渡航の自由も保障していると解されるため、日本に在留する外国人が一般的に海外旅行のため出国し再入国する自由も認められる。

解説
森川キャサリーン事件
留学中に知り合った日本人と結婚した、アメリカ人森川キャサリーンは、韓国へ旅行し、再び入国しようとしたが、過去の指紋押捺拒否を理由に入国を拒否されてしまった。処分の取消と、国家賠償を請求したが、入国の自由を保障されないとした「マクリーン事件」との絡みで、再入国も憲法上保障されないとした。よって誤り。


外国人関係の問題、2年連続出題!!今後も要注意です。

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