問題17(行政事件訴訟法 訴訟類型)
行政事件訴訟法上の訴訟類型の選択に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 Xの家の隣地にある建築物が建築基準法に違反した危険なものであるにもかかわらず、建築基準法上の規制権限の発動がなされない場合、Xは、当該規制権限の不行使につき、不作為違法確認訴訟を提起することができる。
解説
不作為違法確認訴訟は処分又は裁決についての申請をしたものに限り、提起することができる。(行政事件訴訟法 第37条)
とあります。
この場合、取消訴訟又は差し止め訴訟を提起すればいいと思います。
2 Xらの近隣に地方公共団体がごみ焼却場の建設工事を行っている場合、建設工事は処分であるから、Xらは、その取消訴訟と併合して、差し止め訴訟を提起し、当該地方公共団体に対して建設工事の中止を求めることができる。
解説
う~ん・・分かりづらいですね。焼却場の建設工事が処分?建設するには確認が必要(建築確認)。公共工事は処分性を有しないとされているので、誤り。
①取消訴訟を提起する為には処分性を有する行政の行為が対象になる。
行政指導、行政庁内の行為、公共工事(事実行為)、行政計画などは対象外とされている。
3 Xが市立保育園に長女Aの入園を申込んだところ拒否された場合において、Xが入園承諾の義務付け訴訟を提起する場合には、同時に拒否処分の取消訴訟または無効等確認訴訟も併合して提起しなければならない。
解説
そのとおり。
行政事件訴訟法 第37条の3 第3項 第2号
申請を棄却又は却下する処分の義務付け訴訟には、取消訴訟、又は無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない。
裁判の手続き上の問題でしょうか。義務付けるだけでは処分が消えないからでしょう。
4 Xが行った営業許可申請に対してなされた不許可処分について、同処分に対する取消訴訟の出訴期間が過ぎた後においてなお救済を求めようとする場合には、Xは、公法上の当事者訴訟として、当該処分の無効の確認訴訟を提起することができる。
解説
このような明文はない。正当な理由が無い限り、出訴期間を過ぎれば、取消訴訟を提起できない。当事者訴訟は特段の定めが無い限り出訴期間は無いが、公告訴訟ではないので、公告訴訟である無効等確認訴訟を提起できない。問題がちぐはぐですね。
5 X所有の土地について違法な農地買収処分がなされ、それによって損害が生じた場合、Xが国家賠償請求訴訟を提起して勝訴するためには、あらかじめ、当該買収処分の取消訴訟または無効確認訴訟を提起して請求認容判決を得なければならない。
解説
国家賠償請求は、行政事件訴訟法の公告訴訟を提起する前に行うことが必要な場合がある、裁決前置主義と異なり、違法な公権力により損害を受けた場合は、いきなり国家賠償請求が可能である。