問題33(民法 契約)

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AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。Aは、その際、承諾の意思表示について「8月末日まで」と期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、知り合いの法律家Cに相談を持ちかけた。次のア~オの質問のうち、Cが「はい、そのとおりです。」と答えるべきものの組合せは、1~5のどれか。


ア 「私は、申込みの書面を発送した直後に気が変わり、今は別の車を買いたいと思っています。Bが承諾の意思表示をする前に申込みを撤回すれば、契約は成立しなかったということになるでしょうか。」

解説
「承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回する事ができない。」(民法521条1項)
信義誠実の原則に反しますね。
よくボクのところに、某通信販売会社からDMが届きますが、「○月△日までの到着まで有効」なんて、ふれこみが記載されています。
これを信じて申し込むわけですから、通販会社からやっぱり無しよ、と言われても当然無効ですね。


イ 「Bには、『8月末日までにご返事をいただきたい』と申し入れていたのですが、Bの承諾の意思表示が私に到着したのは9月2日でした。消印を見るとBはそれを9月1日に発送したことがわかりました。そこで私は、これをBから新たな申込みがなされたものとみなして承諾をしたのですが、契約は成立したと考えてよいでしょうか」

解説
法律家は「はい、そのとおりです。」と答えるべきである。
民法523条「申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。


ウ 「Bからは8月末を過ぎても何の通知もありませんでしたが、期間を過ぎた以上、契約は成立したと考えるべきでしょうか。実は最近もっとよい車を見つけたので、そちらを買いたいと思っているのですが。」

解説
民法521条2項
申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けたかったときは、その申込みは、その効力を失う。


エ 「Bは、『売ってもよいが、代金は車の引渡しと同時に一括して支払ってほしい』といってきました。Bが売るといった以上、契約は成立したのでしょうが、代金一括払いの契約が成立したということになるのでしょうか。実は私は分割払いを申し入れていたのですが。」

解説
民法528条
承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたとみなす。
よって、B(承諾者)からの新たな申込みに対し、Aは拒絶してもいいし、再び変更を加えて、分割払いでお願いしたい旨を通知できる。


オ 「Bの承諾の通知は8月28日に郵送されてきました。私の不在中に配偶者がそれを受け取り私のひきだしにしまい込みましたが、そのことを私に告げるのをうっかり忘れていましたので、私がその通知に気づいたのは9月20日になってからでした。私は、Bが車を売ってくれないものと思って落胆し、すでに別の車を購入してしまいました。もう、Bの車は要らないのですが、それでもBとの売買契約は成立したのでしょうか。」

解説
法律家Cは「はい、そのとおりです。」と答えるべきである。
申込みは到達したときに、その効力を生じる。
承諾の通知は発したときに成立する(隔地者間)。
そして、通知は相手方の生活の範囲内(ポストなど)に到着すれば、意思表示は完成するとされているので、売買契約は成立したこととなる。


よって、イとオが正解。

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