問題16(行政不服審査法における審査請求と異議申し立て)
行政不服審査法における審査請求と異議申し立てに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 大臣または外局の長がした処分については、審査請求できるが、異議申し立てはできないのが原則である。
解説
真逆。
行政不服審査法 第5条 第1号、第6条 第2号
処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。は異議申し立てができる。等ブログ参照。
ただし、上記の場合であっても、審査請求が可能な場合、異議申し立てはできない。(どないやねん!ややこしい)
2 審査請求と異議申し立ての両方が認められている処分については、そのいずれかを自由に選択できるのが原則である。
解説
行政不服審査法 第20条
審査請求は異議申し立てをする事ができるときは、異議申し立ての決定を経た後でなければ、することができない。
1肢と矛盾するように思える。第6条の「処分庁が主任の大臣・・・」の場合、本来異議申し立てをすることになるのだが、この場合でも審査請求できる場合があるらしい。そうすると、自動的に(法律での例外を除く)異議申し立てはできなくなる。
例外中の例外と考えた方がいいのだろうか。第20条の異議申し立て前置主義が原則で、第6条は例外と覚えるようにしよう。
3 申請に対する不作為については、審査請求のみが認められ、異議申し立てはできないのが原則である。
解説
行政不服審査法 第7条
「不作為庁が主任の大臣又は・・・」の場合は、異議申し立てのみになるが、それ以外の不作為の場合、自由選択主義で、審査請求又は、異議申し立てのいずれかを選択できる。
処分の変更を求めるような不服申し立ては、審査請求をして、監督庁や上級行政庁などに対して、「間違ってると思うんで、ちゃんと言ってやって下さいよ~」といった方が、効き目がありそう。
ただ不作為の場合は、直接異議申し立てで「待ってるんだから、とっととやって下さい!」と言った方が話が速そう。でも中には、直接言うのが嫌だという人もいると思うので、審査請求をして、上級行政庁に促してもうことも考えられるのだろう。
4 審査請求においては、口頭審理が原則であるが、異議申立てにおいては、書面審理が原則である。
解説
行政不服審査法 第25条 第1項
審査請求人又は参加人から口頭で意見を述べたいとなった場合を除き、審査請求の審理は、書面による。
異議申し立てにも第48条にて準用されている。
5 処分について、審査請求が認められている場合には、異議申し立てはできないのが原則である。
解説
再びややこしい。
ようは、次の二つの方程式が成り立つ。
①審査請求ができる場合・・・異議申立てはできない。
②異議申立てができる場合・・・審査請求は異議申立ての後に行う。
となる。
本問、2肢の審査請求と異議申立ての両方が認められている場合を考えてみると、
審査請求はできるが、異議申し立てができないという①に当てはまらない。
なぜなら異議申立てが認められていると言っているのだから。
次に方程式②を見てみると、異議申立てを経れば、審査請求をするのも可能だよ。と言っているので、2肢の場合、方程式②があてはまる。
次に5肢の場合、異議申立てが認められていると書かれていないので、方程式①が当てはまる。
法律を理解する為には、数学脳も必要なのか!?