問題39(会社法 利益相反取引)

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取締役会設置会社の代表取締役Aが、取締役会の承認を得て、会社から金銭の貸付を受けた場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


1 取締役会の承認を得て金銭の貸付を受けた場合であっても、Aは、事後にその貸付に関する重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

解説
そのとおり。
取締役は株式会社の中枢として、忠実に業務をこなさなければならないのであり、株式会社の利益にならないことは慎まなければならないはずである。
しかし、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の承認があれば、行うことができるものもある。
会社法第356条第1項第2号
取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときは、株主総会(取締役会設置会社においては取締役会)の承認を受けなければならない。
会社法第365条第2項
取引後、遅滞なく、当該取引についての重要事項を取締役会に報告しなければならない。


2 Aが自ら会社を代表してA自身を借主とする契約を締結することは、自己契約に当たるため、他の取締役が会社を代表しなければならない。

解説
誤り。
会社法の取締役による規定によると、民法(108条の自己契約及び双方代理)の規定と異なり、自己契約が可能となっている。
言い換えれば、取締役は、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の承認と、事後報告があれば、自己の権限を利用して、自己の為若しくは、第三者の為に、金銭の貸付や、取引契約ができる。


3 Aが金銭の返済を怠った場合には、取締役会で金銭の貸付を承認した他の取締役は、Aと連帯して会社に対する弁済責任を負う。

解説
そのとおり。
前肢のように、貸付けた金銭が返済できると判断して、承認をした取締役がいるわけなので、もしその返済が滞ったら、承認した手前、自分の懐を痛めて損害を賠償することも十分考えられます。


4 Aへの金銭貸付に関する承認決議に参加した他の取締役は、取締役会の議事録に当該貸付について異議をとどめなければ、決議に賛成したものと推定される。

解説
そのとおり。会社法369条第5項
会社運営を任されている取締役は、経営に関するイエスorノーの意思決定をしなければならないが、取締役会に参加しながら、その意思決定をしないのであれば、賛成したものと捉えられて、スムーズに経営を進めて行くのが現代社会の会社経営にとっては正しい判断だと思う。


5 金銭の貸付を受けたAの損害賠償責任は、株主総会の特別決議によっても一部免除することができない。

解説
そのとおり。
取締役の行為には、重い責任があるが、ある程度のリスクを侵さなければ競争市場で生き残れない。その為、取締役に関する責任の緩和策が取られている。

  • 責任の一部免除

  • 取締役等による免除に関する定款の定め

  • 責任限定契約


  • しかし、
    取締役の自己のためにした取引の場合には、無過失であっても上記の責任緩和策は適用されない。
    よって、よっぽどの自信が無い限り、自己取引や利益相反取引は慎重に行わなければならない。


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