問題35(民法 相続)
Aが死亡した場合の法定相続に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
なお、Aの死亡時には、配偶者B、Bとの間の子CおよびAの母Dがいるものとする。
ア Aの死亡と近接した時にCも死亡したが、CがAの死亡後もなお生存していたことが明らかでない場合には、反対の証明がなされない限り、Aを相続するのはBおよびDである。
解説
そのとおり。
民法32条の2(同時死亡の推定)
数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
よって、AとCは同時に死亡したことになる。もしCが少しでもAよりも長く生きていたら、Cには相続権が発生するのでしょうが、同時死亡なので、子Cは相続時にはいないものと判断される。
民法890条と889条により、常に配偶者Bは相続人。子がいない場合、直系尊属が相続し、さらに直系尊属もいない場合には、兄弟姉妹が相続する。
イ Aが死亡した時点でCがまだ胎児であった場合には、Aを相続するのはBおよびDであるが、その後にCが生まれてきたならば、CもBおよびDとともにAを相続する。
解説
誤り。
民法886条
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。(死亡して生まれた場合を除く。)
よって、子Cがいる以上、母Dには相続権は無い。
ウ Aにさらに養子Eがいる場合には、Aを相続するのはB、CおよびEであり、Eの相続分はCの相続分に等しい。
解説
そのとおり。
民法809条(嫡出子の身分の取得)
「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。」
エ Aが自己に対する虐待を理由に家庭裁判所にCの廃除を請求して、家庭裁判所がこれを認めた場合には、たとえCに子Fがいたとしても、FがCを代襲してAの相続人となることはできず、Aを相続するのはBおよびDである。
解説
誤り。
廃除は代襲相続の欠落事由に当たらない(893条)。相続の放棄は代襲相続の欠落事由に当たる。
よって、子Fは代襲相続でき、Dは相続できないことになる。
オ Cが相続の放棄をした場合において、Cに子Fがいるときには、Aを相続するのはBだけでなく、FもCを代襲してAの相続人となる。
解説
誤り。
過去のブログ代襲相続より。
実は、子が相続の放棄をした場合の、代襲相続の有無ははっきり明文化されていないのです。
しかし、廃除や欠格事由はと異なり、放棄が条文に載っていない以上、代襲相続できないと解釈するしかないのでしょう。
まあ、放棄するということは、自ら、相続しないよ、といっているのだから、その自分の子の事を考えれば、放棄するかしないかは親がようく理解して判断したことだろうと思う。
よって、アとウが正解。
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