問題12(審査基準)
行政手続法による審査基準に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものはいくつあるか。
ア 審査基準の設定は、行政手続法の委任に基づくものであり、申請者の権利に関わるものであるから、審査基準も法規命令の一種である。
解説
審査基準は法規命令なのか、それとも行政規則なのか?が問題になる。
命令には規則も含まれると解される場合もあるが、「法規命令」となると「国民の権利を制限し、又は国民に義務を課す内容を含むもの」となる。
となると、審査基準も国民の権利義務に関わる基準なので「法規命令」となるのかな?と思うが、
行政主体が各行政機関に対して、審査基準を定めなさい、という行政規則の面も有り得る。
となるとどっち!?かわからなくなるのですが、正解は2008年1月28日を待ちましょう。
イ 不利益処分についての処分基準の設定が努力義務にとどまるのに対して、申請に対する処分についての審査基準の設定は、法的な義務であるとされている。
解説
これはその通りですね。
審査基準、第5条、第1項
処分基準、第12条、第1項
等ブログの行政手続法の必須義務と努力義務参照して下さい。
ウ 審査基準に違反して申請を拒否する処分をしても、その理由だけで処分が違法となることはないが、他の申請者と異なる取扱いをすることとなるため、比例原則違反として、違法となることがある。
解説
審査基準に違反した処分が違法でないとしたら、何のための審査基準なのかわからない。法律で定められた必須義務である審査基準を信じて申請者は申請してくるのだから。
他の申請者と異なる取扱いをされたら、憲法で定める第14条第1項の法の下の平等にある、平等原則に違反する。比例原則ではない。よって間違い。
エ 審査基準の設定には、意見公募手続の実施が義務付けられており、それに対しては、所定の期間内であれば、何人も意見を提出する事ができる。
解説
これも微妙な問題なので、2008年1月28日を待ちたいと思います。
意見公募手続の適用除外対象として、第3条、第2項、第6号にあります、
「審査基準、処分基準又は行政指導指針であって、法令の規定により若しくは慣行として、又は命令等を定める期間の判断により公にされるもの以外のもの」は意見公募手続の適用除外とされています。
よって、様々な行政機関に行う申請の審査基準によっては意見公募手続の適用除外がありうる、ということになります。
オ 国の法律に基づいて地方公共団体の行政庁がする処分については、その法律を所管する主務大臣が審査基準を設定することになる。
解説
第5条、第1項
行政庁は、審査基準を定めるものとする。
とあります。
よって、主務大臣ではなく行政庁が審査基準を定めることになっています。
難しいというより微妙な判断が必要な問題があるので戸惑いますね。
これも捨て問題のひとつでしょう。
審査基準の問題が出た!と喜んでいたらこれでは・・・
やはり所々、試験作成者の判断により判断がつきづらい問題を用意して、60%の合格基準の設定を上手にクリアしにくくしている感じがします。