問題2

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問題2
法格言に関する次のア~オの記述のうち、空欄(A)~(E)に当てはまる語句として、最も適切な組み合わせはどれか。


ア 法実証主義の考え方によれば、「(A)もまた法である。」が、自然法思想によれば、「(A)は法ではない。」ことになる。

解説:法実証主義?初めて聞きました。意味は、実定法のみを法であるとする立場のことを、法実証主義といいます。実定法とは?人工的に作られた法。特定の時代や場所に限定されて妥当となる法。


対して、自然法主義とは?自然法が法であるとする考えかた。自然法とは場所や時代による制約を受けることなく普遍的に存在している法。


悪法とは?有名な徳川綱吉の「生類憐みの令」は悪法とされている。
法実証主義の考え方によれば、法は時代時代で、法の抜け道を利用した事件を秩序付けていけばよく、必要なくなれば、立法府で法を廃止していけばよく、それが世間から悪法と呼ばれたとしても、その破壊された秩序を正す役目を果たしてくれれば、それでよしとする、と解釈できる。
よって、法実証主義の考え方によれば、「(A)もまた法である。」は、「(悪法)もまた法である。」と考えられる。


自然法主義によれば、「(悪法)は法ではない。」ことになる。
自然法主義によれば、例えば、憲法で言う基本的人権のように、国家や、社会が存在しようがしまいが、人間に対して、元来から持ち合わせている権利であるので、憲法でそれを否定したとしても無効となる。よって、「(悪法)は法ではない。」となる。


イ 時効の制度は、「(B)の上に眠る者は、保護されない。」という法格言から説明することもできる。


「(権利)の上に眠る者は、保護されない。」というのは聞いた事があります。権利があったとしても、それを実際に目に見える形で行使していかない人には、その権利は消滅してしまいますよ。ということなのでしょう。


ウ 「(C)は証拠の女王である。」という法格言があるが、刑事訴訟において、(C)が被告人に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とすることはできない。

これは、憲法第38条第3項の
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
から導く事ができる。
よって、(自白)が入ることになる。しかし、「自白は証拠の女王である」とは面白い言い回しですね。


エ 「事実の不知は許されるが、(D)の不知は許されない。」という法格言があるが、責任主義の観点から、この法格言がそのまま通用する訳ではない。


こういう法格言があるのですね。おそらく(法)が入るのでしょうけど、責任主義とは、例え法を犯していたとしても、その人の責任を追及できなければ、刑罰を科すべきではないとする考え方。
おそらく、法を知らなかったとしても、責任能力が無かったとしたならば、罰することはしない方がよい、ということから、この考え方になるのでしょう。難しい!


オ 「(E)は遵守されなけらばならない。」という法格言は、(E)の拘束力の根拠とされることがある。


「(契約)は遵守されなけらばならない。」となるのでしょうが、これはその通りでしょう。契約には拘束力がなければ何の意味もありません。

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